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私の独断と偏見で選んだ、エンジニアにおすすめのアルバム10選(後半)

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私の独断と偏見で選んだ、エンジニアにおすすめのアルバム10選(後半)

前半はnoteに置いた

あちらで書いた自分の選盤基準はひとつだけ——作業に効くかどうかは曲の良し悪しではなく、歌詞が自分の言語処理に割り込んでくるかで決まる、というものだった。

後半の5枚は、その境界線の上で悩んだ結果になった。BGM適性が高いから入れたやつと、BGMには向かないと分かっていて、それでも外せなかったやつが混ざっている。独断と偏見なので、そういう矛盾を残したまま並べる。

6. Yellow Days

イギリスの George van den Broek のプロジェクト。掠れた歌声がほとんど楽器として溶けているので、詞が意味として立ち上がってこない。作業BGM適性という一点で言えば、この10枚で上位に来る。

夜のまったりした時間、ログを眺めているとか、大きな判断を挟まない手直しをしているとき用。インディーソウルの緩い揺れが、集中を張り詰めさせずに一定に保ってくれる。「音量を上げても疲れない声」というのは、長時間作業では地味に重要な指標だと思っている。代表作の『A Day in a Yellow Beat』あたりから入るのがいい。

7. The Strokes

ガレージロック・リバイバルの本丸。集中を邪魔しない理由が音作りそのものにあって、あのわざと籠もらせたミックスのおかげでボーカルが前に出てこない。一定のBPMで淡々と進むので、レビューや反復作業の背景に敷きやすい。

『Is This It』が結局いちばん稼働する。名盤として語られる文脈より、「テンポが一定で、声が奥に引っ込んでいて、何度流しても飽きない」という実務的な理由でプレイリストに残り続けている一枚。

8. Penthouse / Balcony(2023)

ここから2枚は「作業に向かない枠」。邦詞なので当然、聴けば言葉を追ってしまって手が止まる。それでも入れているのは、context switch の直後——集中を一度切って、次の作業に頭を組み替えるあいだのリセットに使っているから。

ツインボーカルのポップスとしての完成度が高くて、鍵盤にCateen(角野隼斗)がいる。技巧が過剰にならず楽曲に奉仕しているあの塩梅は、エンジニア的な「上手さの使いどころ」の話としても妙に共感してしまう。休憩中にあえて手を止めて聴くための一枚。作業用ではなく、作業と作業の隙間用。

9. RADWIMPS / あにゅー(2025)

これも作業には全く向かない。日本語詞が容赦なく入ってくる。用途は移動中とか散歩中、コードから離れて設計だけを頭の中で転がしている時間の相棒。

2025年10月、メジャーデビュー20周年に出た9枚目。20年やってなお前に進み続けている作り手の最新作を、あえて旧作ではなく現在進行形で一枚入れておきたかった、という選盤動機のほうが大きい。上っている最中の記録を書く人間として、完成された過去より、まだ動いているものに肩入れしたくなる。

10. The Doors / Strange Days(1967)

締めはこれ。サイケデリックな浮遊感とオルガンの反復が、深夜のひとりの検証や、障害対応が明けたあとのクールダウンにちょうど効く。

英語詞で、しかも半世紀以上前の質感なので、意味としてはほとんど入ってこない。ジム・モリソンの声も含めて全体が音のテクスチャとして機能する。高ぶった頭を、眠らせるのではなく、ゆっくり地面に降ろすための一枚。トランスに片足を突っ込んだような反復が、その日の緊張をほどいてくれる。


並べ終えて気づいたのは、作業BGMとして本当に効いているのは自分にとって「言葉が意味にならない音楽」だけで、母語で歌われた瞬間にそれは作業用ではなく鑑賞用に変わる、というかなり単純な事実だった。にもかかわらず、向かないと分かっている邦楽を2枚も入れてしまうあたりが、たぶん独断と偏見ということなのだと思う。あなたの集中はどのタイプで、境界線はどこにありますか。